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モンドヴィーノ | 映画鑑賞備忘録

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モンドヴィーノ
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Mondovino (2004年、アメリカ・フランス)
監督・撮影・編集:ジョナサン・ノシター
出演:エメ・ギベール、ミシェル・ロラン、モンダヴィ、
   ド・モンティーユ、ロバート・パーカー 他

ワインについてのドキュメンタリー映画。
ラングドッグの片田舎アニアンの街で市民を巻き込み、ついには市長交代にまで発展するという事件が起きた。アメリカ・カルフォルニアのワイン製造大手モンダヴィ氏がこの地に進出する計画があった。モンダヴィ氏は、森林を伐採し葡萄畑を拡張する計画を立てていた。このモンダヴィ進出によるワイン産業の発展を推進する陣営(元市長・社会党)と、環境破壊・アメリカの覇権主義に警戒し待ったをかける陣営(A・ギベールと新市長・共産党)とで対立がおこった。当時は、図らずもタイミングよく市長選挙が行われる頃で、結果、反対派が勝利しモンダヴィ氏は撤退を余儀なくされた。
このモンダヴィ氏を撤退させたことを過ちだったと言うのが、ミシェル・ロランだ。彼は醸造家として多くのシャトーにワイン製造についてアドバイスをする仕事をしている。彼の作るワインは、「すぐに売れる万人受けのするワイン」だ。ボルドーでも多くのシャトーが彼を頼りワイン作りに変化を取り入れた。

しかし、A・ギベール氏はいう。「ワインは死んだ」と。
(ギベール氏はラングドッグ地方ドメイン、ドマ・ガサック Daumas Gassac 創始者)
ギベール氏同様、10年20年を経て味わいを深めていくワインを造る製造者もいる。
しかし最近では、ロラン氏の推進するような作って間もなくして飲む用途のワインの生産量も増えている。

このM・ロランの提唱する「売れるワイン」は、ある人物の"舌"によって裏づけがされる。ロバート・パーカーだ。
最近では、彼が美味いといって格付けを上げたものが売れるようになった。一種の「ブランド価値」の様なものが出来上った。ワインブームも相まって、その格付けに頼る購買者と生産者が増加した。
たった一人の人物の好みに、合わせられるワインの味。
その味に近付けるために色付けや甘味を加えるなど、無茶苦茶な製造者も出てきた。ワインを作る事が先か、儲かるものを作るのが先か…というワイン製造分野にとっての危機が訪れた。
ワイングラス
私はワインを飲む側、購入する側にいるので大きなことは言えません。
ワイン市場の動向によって直接的に生活に影響が出るわけでもなく
好きなものを選んで飲めばいいだけの立場にいます。

ですが、正直アニアンの一件についてはゾッとしました。
アメリカの業者の思うままになっていたかもしれないと思うと恐ろしい。
もちろん、今でも賛否両論あるのでしょうが
個人的には、アニアンに関しては今ある選択で良かったのだと思います。

もちろん、経済的に見て10年50年多く見て100年先についてのビジョンは彼ら(米)にもあるのかもしれない。しかし、ワインには…いやワインを長い間作り続けてきた人々とその土地の歴史は千年単位に及ぶものです。目先の利益のために何百何千年と積み重ねてきたものを、ここでガラリと変えてしまうことに大きな懸念をおぼえます。

もちろん、安くておいしいワインはありがたいけれど
おいしいワインはほんの一時のものです。
しかし、自然はずっとそこにあります。
大事なものは何か。それについてより突き詰めて考えてみたいと思います。
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